あらすじ
〔3世紀ローマ帝国を舞台にした隠者アルカディウスの哲学的対話物語〕
西暦289年のローマ帝国。威光の陰りが顕著になった時代。人は老いてその活力が失われるように、ローマの大懐と力能は今や灰燼に帰そうとしていた。われわれの生きた世紀は終焉へと流転する。
イタリア半島の巨神山。偶然と必然の記憶。"隠者の小道"それは巨神山に通じる岩山の山道。山頂に住まう一人の隠者。その名はフロンティヌス・アルカディウス。
秩序がおりなす邂逅。彼のもと、縁ありて訪ね人きたる。"対話"による契機。神々の天空に近き山嶺における哲学の語らい。ときとして一致し、ときとして対峙する。さあ、探究の道へ。
登場人物
目次
序 章 隠 者 |
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第一章 幸 福 |
巨神山の隠者アルカディウスの下へ弟子のティトゥスが訪れる。彼らは人間の「幸福」が理性に即したものであることを論じる。 |
第二章 怨 恨 |
怨恨の隷属者カエクスは歪んだ精神をもつ農夫である。自分より「哀れな者」がいることを知ったカエクスは隠者の下へ訪れる。 |
第三章 創 作 |
放浪詩人フラーメンはアルカディウスの噂を聞いて巨神山を登った。フラーメンはアルカディウスの哲学にふれる。やがて、対話は「創作」について進められる。 |
第四章 邂 逅 |
アルカディウスの古き友人メティリウスが巨神山に訪れた。メティリウスとティトゥス、そしてフラーメンは「国家」について論じ合う。 |
第五章 対 照 |
ローマの元高官の娘スタティリアは隠者の噂を聞きつけ、彼女の参謀である修辞学者ラビリウスと共に巨神山に訪れた。アルカディウスとラビリウスの激しい議論が行われる。 |
第六章 浄 化 |
アルカディウスとメティリウス、そしてティトゥスは観照による「達成の幸福」について語り合う。彼らは「浄化」へ歩み寄る。 |
終 章 探 究 |
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付 録 |
編集者から一言
古代ローマを舞台にした対話小説!ローマ兵士から隠者・哲学者となったアルカディウスのもとに色々な人が訪れて様々なテーマを話し合う対話作品。
倉石清志の処女作『隠者の小道』。
本作は著者が二十九歳の時に書き始められた哲学対話篇である。著者の初々しい時代の思想が堪能できる貴重な作品である。古代ローマ帝国の隠者アルカディウスの人格を通じて語られる心に深く響く幸福の哲学書。
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